発達障害だと集中力が続かない?
こんにちは。
「心の自立支援員」幸来(サチコ)です。
発達障害の方は集中力が続かない。
そんなお話を聞くことがあるかもしれません。
でも、本当にそうでしょうか。
私は現在、非常勤で、高校の講師と児童発達支援・放課後デイサービスの指導員をしています。
仕事の中で、発達障害の特性をもつ幼児から高校生までのお子さんと関わっています。
今回は、彼ら・彼女らとの関わりの中で、私が日々感じていることをお伝えしたいと思います。
といっても、これらの仕事に就いてまだ2年にも満たないですし、週に数回のシフトです。
このような短い経験の中での、あくまで個人的感想ですが、この記事をご覧になっている皆様のご参考になれば幸いです。

どちらの職場でも、毎回プリントやレポートを行っています。
ですが、お子さん達の様子を見ていると、全部が全部、集中力がないということはありません。
ざっくりとお話するなら、「出来ないこと」や「やりたくないこと」に対して、集中力が続かない傾向にあると思います。
でもそれは、程度の差はあるかもしれませんが、発達障害の方に限ったことではないのではないでしょうか。
ただ、発達障害の方は、これらのことへの拒否反応が強いような気がします。
高校生でも、レポートの問題が解けないと、小さい子のように癇癪を起こして、プリントをグシャグシャにすることもあります。

反対に、やる気があることに対する集中力、もしくは執着が人一倍強いお子さんもいます。
おやつの時間が来ても、集中しているとプリントを止められない子もいます。
また、自分の関心が高いものについては、周りが付いていけないほどの知識を披露してくれます。
ですが、このように集中力を発揮する場合でも、発達障害の方は周りの要求とミスマッチを起こすことが多いのです。
上記のお子さんのように、おやつの時間が来ているのに、別のことに集中して止められなかったり・・・。
相手が明らかに関心がない素振りを見せても、自分の話に夢中で気付かなかったり・・・。
「今はそれをする時間じゃないでしょ」と注意されるお子さんも多いのではないでしょうか。
更に、年齢に関係なく、ジッとしていることが苦手なお子さんも多いです。
日本では、特に公共の場で、おとなしく静かにしていることが望ましいと考えられています。
このような状況から、発達障害の方は「集中力がない」ように見えてしまうのは、致し方ないのかもしれません。
そして、周りの大人は、出来ていることよりも出来ていないことに目を向けてしまいがちです。
出来ていないことを出来るようにする。
やりたくないことでもやらなければならないことを学ぶ。
それが教育であり、療育だと考えています。
(当然のことですし、これが悪いと言いたいわけではありません)
ですから、出来ないことややりたくないことへ過剰な拒否反応を目にすると、更にこのように考えます。
何とか出来るようにしなければいけない。
あとで本人や周りが困らないようにしなければならない。
ですが、周りが問題視すればするほど、いつしかご本人もご自身を問題視するようになります。
そして、問題のある自分から目を逸らそうとして、ますます過剰に拒否反応を示します。
「解けるようになんかなりたくない」
「教えてくれなくてもいい」
こんなふうに怒り出すお子さんもいます。
良かれと思って丁寧に解き方を説明したとしても、素直に受け入れられなかったり、返って自尊心を傷つけてしまうこともあるようです。
また、小学生や幼児はこんな反応が多いです。
「無理」
「出来ない」
初めてのことはもちろん、過去に出来ていたことであっても、やろうとしません。
大人に構って欲しい、甘えたいという気持ちもあると思います。
ですが、「出来ない」のではなく、本当は「やりたくない」と言いたいのかもしれません。
また、初めてやることは出来なくて当たり前です。
やろうとしなければ、発達障害に限らず、ほとんどの人はずっと出来ないままです。
試しにやってみたとしても、発達障害の方は諦めが早い傾向にあるように感じます。
もっと練習したら出来るようになるかもしれないのに、その可能性すら考えていないように見えます。
これは先行きの見通しを立てにくい発達障害の特性も関係しているかもしれません。
その結果、「集中力がない」「根気がない」と判断されてしまうのだと思います。
発達障害の方は、少しでも問題視されないように、「出来ない」「やりたくない」ことを過剰に回避しようとします。
ですが、これらの回避行動も含めて問題視される悪循環に陥り、その結果、自分に自信が持てなくなるのです。
集中力の量は、自信の量と比例する側面もあるのではないでしょうか。
自信がないことを「やってみよう」「がんばってみよう」と思えないのは、発達障害の方に限ったことではありませんよね。
繰り返しになるかもしれませんが、人はどうしても「出来ない」ことばかりに目を向けて、弱点、欠点を克服しようとします。
もちろん、それはそれで大切なことかもしれません。
ですが、周りの大人は、出来ないことばかりではなく、出来ることにももっと目を向けることができるとよいのではないでしょうか。
集中力がないと、本当に言えるのかどうか。
発達障害の特性やご本人の自己肯定感の低さから、そのように見えているだけかもしれません。
色々な視点から、一度検証してみてはいかがでしょうか。
発達障害に限らず、このようにご自身の物事の捉え方を改めて検証することは、悩みや不安の軽減に繋がります。
不安や悩みに囚われすぎない、自他共に受容的な心のあり方を、私は「心の自立」と呼んでいます。
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